新作が完成しました。

花雲-展示-s

『花雲』2013 45.5x53cm
スクラッチ/ハッチング アクリルガッシュ 麻キャンバス ¥120,000-

雲は世界のどこでも、見られるものです。
しかしその存在は、雲に関心を向けた時にしか与えられません。
また、いつでも同じ姿で現われるわけではなく、
もう二度と巡り会うことはないであろう程の、希な色と形を記憶に残したまま、
あとかたなく移り行き、
そしていつしか、その記憶さえ消えてなくなります。

私はそうした記憶の断片を繋ぎ合わせながら、
長野の空の下で、形而上の雲を描き起こしたいと思わずにはいられません。

形而上の雲とは何か?最近アリストパネスの『雲』を読みました。
ソクラテスの登場するギリシャ時代の喜劇です。その中の詩を書き添えておきます。

いつみても漂う雲のわれら
露にぬれた煌く身をあらわに
空高く登ろうよ、
にぶい音におたけび狂う父なる大海から
そびえたつ山々の木でおおわれた
頂に、そこで
みはるかす高い峰々を見よう、
みのり豊かに育む聖い大地を、
そしてまた水音高い河を、
低い音色に歌う海を。
疲れを知らぬ空の眼が
まぶしい光のただ中に
閃いているものを。
そうよ、雨をもたらす霧を
この不死の姿から払い落として
はるかを見渡すこの目でもって地をば見ようよ。

2作目は、『白氷』です。
長野に来た理由のひとつに、雪のような白い作品を描きたいという思いがありました。
雪の経験を実感しながら、雪をテーマにした作品を沢山制作して行きたいと思っています。
この作品には、私の言葉を添えておきます。

「今日踏みしめる雪、明日に輝く白氷を想う。」

白氷ー展示場面-s

『白氷』2013 22×27.3cm
ハッチング アクリルガッシュ 麻キャンバス ¥45,000-

この作品は、縦にすると、樹氷の森を彷彿とさせる作品に変わります。
1枚で2種類の作品を楽しめるものです。

以上の2点は、今月末までにKANEKO ART TOKYOに送り、販売されます。
また、近日中に、右サイドボードに新作販売のPayPalボタンも設ける予定です。

現在アトリエでは、F30号とF100号の下地塗りが出来上がり、F30号からハッチングの筆を入れているところです。いつもはスクラッチから入りますが、今回は逆からの制作の試みです。その他、F8号、F3号数枚の下地塗り作業を平行しながらの制作です。