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横須賀美術館トークー千年の翠とは?

お陰さまで9月4日のアーティスト・トーク並びにワークショップは、
沢山の方々が参加して下さって、
夢のような楽しいひと時を過ごして帰って来ました。

アーティスト・トークに参加された方々からも、
とても楽しかったと率直なお便りが届いていています。
私も、長野でとてもうれしく拝読しておりましたが、
会期中7月から長野と横須賀を行ったり来たりの生活で、
夏バテ気味になってしまい、ご報告が遅くなっておりました。

美術館サイドでざっと人数を数えて、
70人くらいは来ていたということでした。
多いのか少ないのか、私にはよくわからないのですが、
とても多かったっていうことでした。

いらした方のほとんどは、初対面でしたが、
とても積極的に良い質問をして下さいました。

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Q:展覧会の題名をどうして「千年の翠」としたのですか?

A:この展覧会を企画して下さった学芸員の方は、黒子に徹していらっしゃる方で、
どういう経緯で私の展覧会をしたいと思ったのか、未だに伺っていません。
本来ですと、こういう展覧会をしたいというご意見が企画者側からあれば、
それが展覧会のタイトルになるのではないか、と勝手に私は思っていたところがあります。

ところが、どうも打ち合わせの流れの中で、
「作家側に決めさせたいんだな」ということに気づく場面がありました。
それから、はっきりとした言い方ではなかったと思うんですが、
「作風に変化が起きたので展覧会をしてみたくなった」、
というようなニュアンスが伝わって来たことがあって、
それをタイトルに盛り込むことがいいのかなと、私の方で解釈しました。

お茶の席では、床の間に季節に合わせた掛け軸が掛けられるのだそうで、
今年のお正月に、鎌倉の実家に行ったところ、今年は「竹」というのが掛けてありました。
漢字の「竹」の字が、黒い墨一色で長ーく引き延ばされて、本当の竹のようにしなっていたので、
「柔らかいのに強く堂々と勢いがあって、お正月に合っているな」と眺めていました。

母に言わせると、「竹」は季節を選ばないので重宝だということでした。
「なるほど」本来なら竹は青々とした緑で塗って描きたいところでしょうが、
東洋ではそういうことをしなくても、勝手に季節の竹の雰囲気を肌で感じることができます。
お正月には門松を立てますが、その中に竹が使われているので、そういうことで「竹」なのでした。
それで、門松の松はそこにはなかったのですが、松の掛け軸もあるのだろうなと、
そこではそのくらいのことでした。

こういうお茶席の掛け軸は、たいてい禅語から持って来ています。
実はこのブログの「一雨潤千山」という言葉も、昔横浜の由緒あるお屋敷に伺った時に、
床の間に飾られていた掛け軸の文字なのです。

それで、今回の展覧会のタイトルを決める時に、
「松樹千年翠」という言葉に辿り着いたのでした。

松の木の緑色が千年の長い年月を経ても、風雪に耐え抜いて、
少しもその色を変えないという意味で、
長寿のお祝い等にも使われる言葉のようです。

本来なら、画業100周年記念に使うような言葉なのですが(苦笑)、
いたってシンプルに「千年の翠」だけ取り出して、今の私の希望や夢を込めた次第です。
自分の成長とともに、すこしずつ変化させながらも、自分らしい絵を追求し、
ずっと制作して生きて行きたいという気持ちです。

振り返れば、緑色の作品がことのほか多く残されていました。

もともと、私に絵心を教えたのは父で、
物置には、学生時代の卒業制作作品?の緑色の抽象画が飾ってありました。
父は、イーゼルや油絵具などを買い込んで、そこをアトリエにするつもりでいたようですが、
ついぞ、その作品以降、新しい絵は描かれることはありませんでした。

幼い頃の私には、それは太陽の降り注ぐ田園風景のような絵に見えたのですが、
父はそういう見え方だけしかできないのではダメだとたしなめられたことがありました。
ずっと後になって、父のその絵は、美大で師事した山口薫の影響だけでなく、
スイスの画家ドローネの影響もあることに気付くようになりました。

私は、美大を卒業しましたが、実は絵画科卒ではなくて、美術史を専攻していましたので、
絵画制作の基本は、若かりし頃の葉山の叔母(当時教員資格をとろうと勉強していた)に、
父が絵の手ほどきをした、そのわずかなひと時に、傍らで見よう見まねで学んだことです。

この時のわずかな知識と、父の緑色の抽象画が私の絵画制作の源流となっていて、
それが今回の横須賀美術館「千年の翠」というタイトルに至りました。

このような活動をしていることは、2000年に亡くなった父には、
全く想像していなかったことだと思います。
たぶん、今の私の作品を見ても父には何のことだか、
さっぱりわからないと思います(笑)
このようにして、一人の人間が生きて行く上で、
沢山の人が知らず知らず影響し合っているのだと思います。

思えば、私が子どもの頃に育った横須賀に、このようなハイソでオサレな美術館が建つ何て!!!
その上、私が画家になって展覧会をしている図など、誰が想像出来たでしょう?
私も想像だにしていなかったことでした。

今回の展覧会を開催出来ましたのも、
私には思いもつかない程の沢山の方々のお力が集まってのことだと思います。
そのような貴重な経験が出来ましたことに、心から感謝している次第です。

ワークショップにつきましては、また次回ご報告ができればと思います。

横須賀美術館川田祐子展は、9月25日が最終日です。
どうぞ、お見逃しなく!

川田 祐子 展 ー 千年の翠(せんねんのみどり)ー

2016年7月9日(土)〜9月25日(日)
10:00 ー 18:00 [休館日/8月1日(月)、9月5日(月)
横須賀美術館
〒239-0813 横須賀市鴨居4-1
TEL:048-845-1211(代表)
http://www.yokosuka-moa.jp/
http://mobile.yokosuka-moa.jp/

追伸
ご支援のご報告

今回展覧会の期間に、いろいろな気づきがありました。
その度毎に、皆様からご寄付や、ご感想、ご協力などを頂きまして、
とても詳細に記述することができない程です。

つくづく、自分は全くお金がないのに、何でこんなにしたいことができるのか?
こちらからご寄付を催促するようなことは、一切していないにもかかわらず、
何で良いタイミングにご寄付が集まるのか不思議でなりません。

いつも見守って下さる方々に、心から感謝申し上げます。

本当にありがとうございます。

9月2日、S様から画材寄付ボタンで、
ブラシソフター(709円+送料760円=1469円)を送って頂きました。
ぼかし技法で消耗しやすい筆を、少しでも柔らかくして、
長く使いたいとこの商品を愛用しています。
本当にありがとうございました。

9月4日、横浜のH様からまたまた美味しいものと一緒に、
ご寄付5000円とPASMO5000円分を頂きました。
横須賀出張中に大変助かりました。ありがとうございました。

9月5日、H様から今月もご寄付1万円を送って頂きました。
早速、新作用に必要な、シュミンケ・ムッシーニのチタニウムホワイト3本を
購入をすることが出来ました。心からお礼申し上げます。

9月7日、世田谷区Y様からご寄付85000円を送って頂きました。
先月のアトリエ維持費が滞納中であったため、早速活用させて頂きました。
心からお礼申し上げます。

9月14日、世田谷区M様から、ご寄付5000円を送って頂きました。
月末の画廊個展の準備のために、大切に使わせて頂きます。ありがとうございました!

9月14日、川崎市T様から、横須賀展の感想文のお手紙とともに、ご寄付5000円を送って頂きました。今後の制作の励みとなりました。大切に使わせて頂きます。ありがとうございました!