水戸で行ったワークショップについて、先日書き込みましたが、水戸での様子が、今ひとつ伝わらなかったかもしれません。
私なりに、水戸で感じたことを書いておきます。
水戸へは、かつてジェームズ・タレルの展覧会を水戸芸術館に見に行って以来のこと。もう10年以上前のことになるかもしれません。当時は街に沢山の人たちがゾロゾロそぞろ歩きをしながら、美術館に向かっているような盛況な雰囲気がありました。水戸芸術館に若いアート好きな若者が集まっている。。。ちょっとしたトレンドだったように思います。
土地の人の話しによると、一つトンネルが出来たことで、人の流れが変わり、車で郊外の大型量販店で買い物をするようになり、街を素通りしてしまうようになったそうです。
水戸市内の古くからの商店街には、立派な構えの個人商店が、とても多く、街の気合いを感じるものの、確かに人通りがまばらな感じはしました。
でも、私好みの昭和を感じるお店が多く、看板やロゴ店の作りが懐かしく、すっかりお気に入りの街になりました。水戸の個人商店を是非大切にして町づくりをして欲しいものです。
芸術館近くの五軒町の明治牛乳販売店の店先に椅子が出してあったので、そこでヨーグルトを食べました。
タイル張りの大型冷蔵庫が、素敵でした。
大きな文具店も見かけました。最近は100円ショップで文具を買う人が多いですけれど、ショウケースに高級万年筆を並べている個人文具店は、貴重な存在ですね。こういうお店、大好きです(藤田帳簿文具店)。
南町の「酒・食事処 茶の間」では、しゃも鍋と最後に入れるラーメンがおいしかったです。おすすめです。
南インド料理カルマの無漂白のチャパティが香ばしくて美味しかったです。
けんちんの汁につけながら食べる、ゆずきりの美味しいお蕎麦も頂きました。
水戸芸術館でのワークショップの時にお昼に出された、「ぼう乃」のお弁当の里いもの煮付けは、今までで一番味付けが良い一品でした。
私の作品を買って下さったことのある人のワインカフェも尋ねてみました。作品を店内に飾って下さり、本当に嬉しかったです。ちょっと暗かったので、写真がないのが残念です(しのざきカフェ)
私の好きなサイトをひとつご紹介します。
泉町2丁目商店街
町の人の顔がわかるし、美味しいお店、こだわりのあるお店の情報満載です。
素敵な町のサイトですね!
水戸市泉町は水戸芸術館のすぐ近くで、学芸員さんが住んでいる町でもあります。
泉町会館、素敵ですね。
滞在最終日に、ご案内頂いた水戸市水道低区配水塔も現在は、薄いブルーとベージュに塗り分けられていてとてもおしゃれでした。
町の中に、歴史を感じる建物や、目印になる塔があると、それを目印に歩けて、とても便利です。
そうそう、水戸芸術館の巨大なタワーも、すっかり町のシンボルになって、遠くからでも見つけると、「あそこが芸術館」と位置確認することが何度もありました。
水戸芸術館では、ちょうど石元泰博写真展を開催中でした。この人の多重露光の作品は、まさしく抽象絵画そのものです。モノクロの写真も余計なものをレンズ内に入れずに、本当に見せたいものだけを絞って撮影されています。以前武蔵野美術大学での展覧会を見逃していたので、今回思いもよらず見れたのは幸運でした。桂離宮のシリーズも素晴らしかったです。それにしても、多重露光の作品がカタログに掲載されていないのは、残念。。。やはり画集を買おうかしら。
私のお気に入りの場所は、千波湖。私は、ハンブルグのアルスター湖を思い起こしてしまいました。よく似ているんです。周りにたくさん芝生でくつろげる広場があって、風もなく穏やかな陽射しの中で、皆さんのんびり過ごしていました。制作の合間に、散歩したい場所です。
水戸とは、水辺があることを表わしている地名なのかも知れないと感じました。
http://www.mitokoumon.com/shisetsu/kouen/senbako.html
千波湖の動画が楽しめます
もちろん、偕楽園の素晴らしい場所でした。好文亭も、思ったより広く、部屋が多く、日本で初めてのエレベーターに驚きました。昔の人はどのようにして着物で上がったのだろうと思う程の高めの階段を上がると、周り廊下からの見晴らし、広々として気持ちよかったです。是非梅の季節に訪れてみたいものです。
滞在中は『ホテルステノ』を予約して頂きました。
水戸芸術館の近くということで、さりげなくアートがいたるところに展示されていました。私のセルフカバーの作品が、つい最近札幌のホテルに22点展示されることになりましたので、とても勉強になりました。
今までにいろいろなホテルで、その場所らしいアートを楽しんできました。どこでも、宿泊場所では、疲れをとるために夜は静かに過ごすことが多いので、絵をぼーっと見れるのは、楽しみのひとつです。ヨローッパやアメリカ、どこでもしっかりとしたアートが飾ってあるものです。ホテルにアートを入れるお仕事も、もっと出来たらいいなぁ。。。。
祝日で芸術館内の広場に沢山のお店が集まり、市民の皆さんの演奏や踊りも楽しませて頂きました。ギリシャのサンドイッチを食べたかったのですが、それを逃したのは、悔いが残ります。年配の方たちの元気な踊りに圧倒されました。衣装もご自分達で手作りでつくられたそうです。凄い!
さて、今回のワークショップは、60歳以上の方々が対象でした。下は60歳から上は92歳の方まで参加されました。皆さんお元気でした。声も大きいし、堂々とお話し下さるし、さまざまなお仕事をされてきて、今ようやくほっとしているというような感じでした。
私も歳をとっても、しっかりとしたオーラを出せるようでありたいです。歳を重ねる毎に、きっと迷いも消えて、明確にものが見えて来たり、正しい判断が出来るようになるのではないかと思うのです。そう思うと、歳をとるのが楽しみでなりません。
ワークショップをするまでは、どういう人が集まるのか、新しいことへの意欲がどのくらいあるのか、そもそもコラージュできるかしら?というような不安もなかったわけではありません。
しかし、書いて頂いたアンケートには、「コラージュが何だか知らずに参加したけれど、楽しく出来た」というような意見が多く、聞き慣れない言葉は、たいした問題ではないことは理解して頂いたようでほっとしています。
それにしても、いつもながら同じ感想なのですが、私のこのワークショップは、0から自分でつくったので、似たような事例がなく、何をするのか、説明がし難いという印象は、いつも拭えません。でも口を揃えて最後には、「こんなに楽しいとは思わなかった」と言って下さるので、私なりにとてもうれしく、ついここまでやって来てしまいました。
一人で制作するだけの人生だったら、いくら作品が評価されたとしても、喜びは微々たるものでしょうね。
「多くの人と、美術の喜びを分かち合いたい」これが今の私の哲学です。
ワークショップはこれでおわりではありません。
これから、水戸のワークショップでつくってもらったコラージュ作品を、キャンバスの上で繋ぎ合わせ、作品として仕上げます。下地のレイアウトがほぼ完成しました。横長のP100号(162x112cm)の作品になります。
ちらっとお見せしますね。
この上に私のハッチングの線を重ねて行きます。
もっとソフトで思い出の彼方に浮かぶ、抽象的な景色に変化していく構想です。
「風景から景色へ」これが今回のワークショップのテーマですから。
私が水戸で見聞きしたさまざまな経験と、参加者さんの一人一人の思い出とが共に重なり、
この水戸での一期一会の出会い、その今が、作品そのものとなります。
この度は、水戸芸術館、主催、協賛方々、とりわけ、画材を提供頂いているバニーコルアートさん、ワークショップ会場をご提供下さったローズヴィラ水戸、並びに南部老人福祉センターふれしあ各関係者の皆様、そしてワークショップ参加32名の方々、温かくお迎え頂き、本当にありがとうございました。心からお礼申し上げます。
来月19日で作品を完成させます。お世話になった水戸の皆様、もうしばらくお待ち下さいね!
おわり
*追伸:水戸芸術館内ミュージアムショップ『コントルポワン』にて、セルフカバーアートの新作5点と、水戸ワークショップ記念特別作品1点、合計6点(各税込価格¥11,970-)と『川田祐子画集 一雨潤千山』(税込価格¥1,260ー)を販売中です。販売は来年1月10日までの限定販売です(*1月16日までに延長されました)。
是非この機会をお見逃しなく!ご案内まで。
水戸ワークショップ記念作品(36枚限定販売)