まだまだ寒い日が続きます。
春が待ち遠しい今の気持ちを、作品にできないかどうか、
目下何点か一度に平行して制作していますが、
ようやく1点を昨日画廊に送ることができました。

誰もが待ち望む春を、春という言葉を使わずに、
作品から感じ取ってもらえればと制作しました。
また、春とか夏という季節だけでなく、
見る人が、その時々の待ちわびているものが、
いつかかならず訪れることを願い、
そういう未来へ向かう自分の望みが何であるのかを、
この作品を通じて気付いてもらえたい、
そういう気持ちを込めて作品名を「やがて来る」に致しました。
期せずして、この作品にも描いていないのに山が見えて来ました。
そして蜃気楼のような空が生まれました。
私にはそのように見えますが、また見る人によって、
いろいろなご意見が去来することでしょう。

coming soon@wp
やがて来る
2015
hatching
acrylic gouache on canvas
31.8x41cm

¥160,000-

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KANEKO ART TOKYO

jeefdegd.

この制作の間に、ある方から個展のご感想が届きました。

「案内のはがきにあった、...自由へと向かっているところまでは読み取れませんでしたが、」

という文章が心に残り、これまでの自分のあり方を振り返っていました。
すると、突然あることに気づいたのです。
自転車操業のような制作の日々に、自由やゆとりなどあるはずがなかったのです。

日々のやりくりに力を入れているようでは、事実、制作に集中など出来ないのです。
力を尽くすべき点は、やりくりではなく、制作の内容です。

そう思うと、そのゆとりのなさは自分自ら招いていたことなのでした。
問題点は、自分の作品を正しく価値付けていなかったことです。

これまで価格を決める時に、「この値段だったら売れるのではないか」
という決め方をしていました。

しかし、それは作り手としての自負を欠いている判断の仕方です。

むしろこんな値段で売るのは難しいかもしれないけれど、
「敢えて挑戦しよう」という気持ちが作品を向上させて行くことになります。
すぐに沢山売れることは成果でも何でもありません。
そのようなことを作家の評価とするべきではないのです。

むしろ、長い間に沢山の方に見てもらって楽しんでもらうためにも、
少し待たないと結果が出そうにない価格にするべきなのです。
そして、価格で決めるのではなく、その作品を本当に欲しいと思う方が、
頑張ってお金を出して下さることが、売り手、買い手にとって大きな喜びに繋がり、
そして作り手は次の制作への大きな励みとなるのです。

きっとそういう人が、この作品の前に「やがて来る」に違いないのですから(笑)