個展の展示準備のために昨日から上京しております。
頂いたご寄付の筆や絵の具で制作した100号作品。
「揺光の花」と名付けました。
先週金曜日に木枠から取り外し、
木枠は解体して先に画廊に送り、
麻布の作品部分は、
アトリエ窓のカーテンレールに、
クリップで止めて数日乾燥。
乾燥中にも何度も筆を入れましたので、
まだ完成後の撮影が出来ていないままです。
一昨日ようやく絵の具の乾きを確かめてから、
作品面を外側に向けながら筒状に巻き、昨日無事に新宿行きのバスの車内に持ち込んで、
出発することが出来ました。
昨日画廊に到着すると、直ぐにまず100号作品を組み立て始め、
その後、一早く陣中見舞いに来て下さったお客様とお昼を会食。
その方は、画廊の近くで勤務されている方なので、
お昼時間に仕事を抜け出して誘って下さったのです。
心温まるひと時で、高速バスに揺られた疲れを癒すことが出来ました。
画廊に戻ってから、画廊オーナーと久しぶりに再会。
今回の作品の制作についてポツポツと話しをして行きながら、
今年後半約4ヶ月で制作した作品を床に並べ、
展示作業をゆっくり進めて行きました。
今回は、初めての油彩画の発表で、
かなりの量と多様な作品を、
4ヶ月前から毎月毎月画廊に送って行きましたので、
昨日初めてそれらを集めて一覧したのです。
そこで重要な気づきが幾つかありました。
まず画材が油彩という画材に変化しましたので、
質感や発色も変わったことは確かですが、
制作の段取りが全く変わりましたので、
必然的に考えることも出てくるものも変わって来ました。
前回7月の「道草」の個展で、
ドローイングを初めてまとめて発表したことをきっかけに、
先にいつも決まった紙の大きさ、八つ切り、または四つ切りの大きさから
作品の構想を立てるようになりはじめたということがまず挙げられます。
それは実際に紙に描かないものでも、
頭の中に図としてそのくらいのスケールでアイデアが浮かぶことも含まれます。
そこでいつも考えなければならないのは、
その構想を実際どのくらいのキャンバスサイズに描いてみるかという問題です。
私の場合は、やはり喜んで見たり買って下さる方々の顔が浮かびますので、
そこから沢山の小作品が出来てきます。
つくづく応援して下さる方に支えられていることに気付かされます。
しかし同時に、大作制作へのモチベーションを、
どう持ち続けてて行くべきかも考えさせられます。
小作品だけを作り続けてしまうと、
大作に切り替えるのがとても難しくなるので、
本来は同時に制作して行くのがベストなのです。
そういう意味で、ご寄付や今回初めて募った絵の具、筆の贈りものを、
大作制作の励みにして行くような活動も続けて行きたいと思っております。
今後ともよろしくお願い致します。
これまではどうしていたかというと、
先にいろいろな大きさのキャンバスをアトリエに並べていて、
その中から、自分のエネルギーと相談しながら大きさが選ばれて、
いてその大きさに行き当たりばったり、
即興で下絵やドローイング、構想なしに制作して行きました。
ですから、とても時間のかかる能率の悪いことをしていたのですが、
その能率の悪さで、とてもじっくり贅沢に作品と対峙していました。
しかしながらその反面、もっと沢山描きたいものがあっても、
次々と忘れ去られて行ったのでした。
制作の途中で閃いたアイデアが、
頭の中でふつふつ沸いては、消えて行ったのです。
今の制作は、これを取り戻している制作なのだな、とはたと気づいたのでした。
以前の自分の中の記憶から紡ぎ出して行く制作で、よく思ったのが、
「記憶の形の曖昧さに現実の世界の複雑さをミックスさせてみたい」
ということでした。
記憶の曖昧さは、シンプルに物事を抽出させる力がありますが、
それに頼りすぎると、多様な表情を紡ぎ出すことが難く、
どうしても一定のスタイルが出来上がり過ぎてしまうのです。
その点、現実の例えば、同じところに咲いているモッコウバラにしても、
一つ一つの花を覗くと、どれ一つ同じ花はないのです。
少しずつ表情が違うことにとても驚き、
もし神というものがこれらを作ったというのであれば、
一体どうやって個々のバリエーションを思いつくのだろうか⁉︎
もし自分にその仕事が任されたら、途方に暮れてしまうだろうと思うのです。
で、じっくりモッコウバラを見ていると、
それらの多様性を可能にしているのは、
例えば風向きだったり、太陽の光と影だったり、虫だったり、
あらゆる環境が全体で奏でているわけです。
そういう自然との触れ合いの中で、自分自身がとても豊かになるし、
そういうものも制作に取り入れるようになって来ました。
具象や抽象という区別があるとしたら、
私はそのどちらに属すというよりも、
具象から抽象へ、あるいは抽象から具象への階層を、
自由に行き来出来るようなところで制作をしたい、
そういう思いが益々強くなって来ました。
なぜならそこにとても見晴らしの広い未開の地が見えるからです。
そして、かつて読んだヘーゲルの歴史哲学講義に、
人類の歴史が「自由」を獲得するための歩みである、
という指摘を読んだ記憶があるのですが。
絵画の制作についても、
様々な固定概念を次々と打ち崩して、
従来の考え方やものの見方に囚われずに、
常に自由になって行くような制作が望まれているとひしひし感じます。
今日もまたお昼から展示作業で画廊に向かいます。
すでに、予約のご連絡を頂き始めたり、
来年のスケジュールのお問い合わせも頂き、
とても励まされながら、快調なスタートを迎えております。
このように無事に個展準備をさせて頂きますのも、
ひとえに皆様の励ましの声や、
ご支援を送って下さるお陰様です。
この場を借りまして、深くお礼申し上げます。
ありがとうございます。
展覧会のお知らせ
川田 祐子 展 – 油彩画 揺光 –
2015年12月1日(火)ー 12月23日(水・祝)
12:30−19:00[土・日- 18:00]月曜休廊
道草の途上、風にゆらめく光の下、
心の片隅に忘れかけていた油絵具で、
これから何かになる、その一歩手前に、
可能性の広がりを見る制作が始まりました。
油彩画初個展。大作を含め、小品、油彩ドローイング等約30点発表。
KANEKO ART TOKYO
101-0032千代田区岩本町2-6-12曙ビル1F
追伸
ご寄付のご報告
11月15日 近くのパン屋さんから、パンを頂きました。
とても美味しく頂き、制作の疲れを癒すことが出来ました。
ありがとうございました。
11月16日・18日 東京都T様から、名村筆1本 ラファエル筆2本を送って頂きました。
100号大作制作の最後の最後まで活用させて頂きました。
ありがとうございました。
11月18日 東京都M様から、応援寄付3口3000円のご寄付を頂きました。
長野から新宿への片道の交通費に使わせて頂きました。
とても助かりました。
ありがとうございました。