昨日の午前中は、雪がちらつきました。
遠くの山の白い頂きから、大きな白雲が立ち上るのをずっと眺めていました。
日常のちょっとした細やかな機微は、
一瞬にして忘却のかなたに立ち去って行ってしまいます。
そういうことをひとつひとつ画面に留めて行きたいものですが、
また一方で、混沌の中からいかに心髄のようなものを抽出するか、
という制作姿勢も重要です。
ということで、今年からはキャンバス作品と平行して、
ドローイングを制作するように心がけています。
この20年の制作はむしろ、ドローイングがキャンバスの上で、
絵画化する方向へと進む歩みであったように思われます。
ここから折り返し地点となって、
絵画がドローイングへと進む方向性もあっていいなと感じ始めています。
そういう意味で、今は小さいサイズにぎっしりと詰め込むような絵画的な制作ですが、
今後またあらたな展開があるかもしれません。
この3ヶ月で出来て来た3点をご紹介致します。
光の調べ
2015
ハッチング/アクリルガッシュ・キャンバス
35x27cm
*夕暮れ時に、空は静かな調べを奏でます。
光の階調に耳を傾けながら制作した作品です。
飛鳥の青
2015
ハッチング/アクリルガッシュ・キャンバス
35x27cm
*曇天の冬が終わり、三寒四温の合間に爽やかな空が待ち遠しくなって描いた作品です。
光陰
2015
ハッチング/アクリルガッシュ・キャンバス
273x22cm
*この作品は、珍しく花らしい花の作品になりました。
白の中の光と影を追う制作がとても面白いと感じて試作しました。
雲の白にはない、生命の躍動を探すような制作です。
今までとは作風が違うので、
このまま未発表でお蔵入りする場合もあるかもしれません。
この3ヶ月で出来たキャンバス作品は、この3点のみでした。
ドローイングが面白くなり、かなり時間をとられた感じもします。
その間に、韓国の方からアートフェアのお誘いも頂いたのですが、
今は制作の時間を大事にしたいとやむなくお断り致しました。
アトリエや倉庫室に、昔の作品は眠っていませんか?とか、
すぐに出品できませんか?という問い合わせをたまに頂きますが、
そういうことができたら、どんなに良いだろうかと思うばかりです。
制作の手が間に合わず、本当に申し訳なく思うこのごろです。