voca大大

『LE PRINTEMPS AU FOND DE LA MER 海底の春』(2001、scratch/acrylic gouache on canvas、194X390.9cm 北海道立釧路美術館所蔵)

この作品の題名は、次のジャン・コクトーの次の詩に由来します。

海底の春

海底にも四季があり、地上同様最高に美しいのは、やはり春。
珊瑚は蕾をほころばせ、肺いっぱい海綿は真っ青な水を吸いこむ。
赤鹿の住む森が、海の空、高いあたりに鳴っている、プロペラを聞きつける。
時として、海のその空から落ちる飛行船。ゆうゆうと落ちて来て砂にころがる。
花たちは立ったまま眠り、おおぜいが別れの挨拶を交わしている。
手棒の魚は無い腕を敷いて眠り、口いっぱい、接吻を海としている。
光線と背景のせいか、写真館にいるような気持ちに時々なる。
片すみに泡の噴射がもくもくと出ているが、海水の入れ替え作業の栓の由。

ジャン・コクトー
堀口大學訳

この作品は、 2002年のVOCA2002展(上野の森美術館)にも出品しました。

小笠原の海に眠る父への追悼の気持ちを込めた作品です。